1/22/2013

世田谷区から待機児童に関する回答が届いた

ちょっと前に、この際だから区長宛にメールを出した、と書いた。

そうしたら、1週間もたたないうちに封書で回答が届いた。
(なぜメールじゃないんだろう?)
回答によれば、内容は全て区長が目を通して、担当所管に指示が出るらしい。
私への回答は、保育課長さんからだった。
忙しいだろうに、ありがとうございました。

でも、内容は、うーん、あまり親切には感じられなかった。
ざっくりまとめると、
ご迷惑おかけして申し訳ない
現状は、こんな計画で鋭意取り組んでいる
待機児童数の算出方法は各自治体の独自調査であり、単純には比較できるものではない
貴重な意見をありがとうございました
というような内容が、A41枚にきちんとワープロ打ち(って最近言わないですよね)してあった。

世の中は、必ずしも善意の人だけで成り立っているわけではない。
それはわかる。
だから、どうしても、こういう言い訳っぽい内容になってしまうのは、わからないでもない。
でも、他の自治体と算出方法が違うんだから、うちだって努力しているわけだし、努力足りないとか言わないでほしい(意訳)、みたいな内容になってしまうと、やっぱりがっかりしてしまう。

そこで、そもそも「待機児童の定義」って何よ?という根源的な疑問がふつふつと沸いてきたので(こうなると「待機児童」オタクですね)、調べてみた。
知っているようで知らなかった定義なんだけれど、結構ショックを受けてしまった。

世田谷区HPより
4 待機児童数(国基準)の状況 - 世田谷区ホームページ (PDF)
「国基準待機児」とは、認可保育園申込者で、保育園に入園できない世田谷区民の児童数から以下に該当する児童を除いた者をいいます。
 ① 保育園、保育室、保育ママ、家庭的保育事業、認証保育所、定期利用保育、幼稚園の預かり保育を利用している。
 ② 自宅から通うことができる範囲に利用可能な保育園があるが、利用していない。
横浜市HPより
横浜市 こども青少年局 緊急保育対策課 横浜市の待機児童対策
保育所に入所申込をしたにも関わらず、定員超過により入所できなかった児童(保留児童)のうち、国の指針に基づき、横浜保育室入所者等を除いた児童の数のことをいいます。
 保留児童の方も待機児童の方も入所選考の対象であることに違いはなく、選考にあたり優劣をつけるものではありません。
待機児童数=保留児童数-横浜保育室等入所者数(注1)-育休取得者数(注2)-特定園等希望者数(注3)-主に自宅で求職活動をしている家庭数
(注1)横浜保育室、家庭的保育事業、幼稚園預かり保育、一時保育、乳幼児一時預かり施設の利用者
(注2)育児休業中の家庭の児童
(注3)特定の保育園のみを希望する児童、近くに空きがあるにも関わらず入所を希望しない児童など

世田谷区も横浜市も、国の指針に基づいて算出していると言える。 サンプルは2自治体だけだけれど、どこも同じだと考えていいのではないだろうか。
とすると、国基準に従って待機児童を定義するならば、タイタイのように認証保育園に入っている児童は対象外である。「待機児童」としてカウントされない
認可園に入れない児童がすべて待機児童と呼ばれるわけではないのだ。

なるほど。

横浜市が待機児童ゼロと言っているのが国基準であるとすると、実態はゼロではないかもしれない。
無認可でも入れているなら、待機児童じゃないでしょう、と言われれば、まあ、そうかもしれないけれど。

どうも、この待機児童の定義自体は平成14年に改定されたものらしい。
改定前は、単純に「認可保育所への入所申込みをしており、入所要件に該当しているが、入所していない児童の数」だったようだ。
出典: 待機児童の数字だけを追ってはならない - 保育経営ナビ|保育所&託児所運営・開業、ベビーシッター派遣の経営情報!

こうやって、国が定義を変えて、見かけ上待機児童数を減らしたとしても、結局問題は変わらない。
数字が見えない分、余計、問題をややこしくするだけじゃないだろうか。
このたび、横浜市が待機児童数ゼロに!という衝撃的なニュースがあったおかげでいろいろ調べてみたけれど、調べれば調べるほど、わけのわからないカラクリに吸い込まれていってしまうような気がした。

待機児童があまりにも多くて忘れがちなんだけれど、もう一つ、やはり、「サービス」という観点も付記しておきたい。
保育サービス自体がどうかというと、現在の需要過多ではサービス向上は、どうしても二の次になってしまう。
たとえば、世田谷区の場合、たいていの認可保育園は延長保育があってもだいたい19時くらいまでで、一部22時まで預かってくれるところがあるきりである。
休日保育なんて何をかいわんやである。
タイタイと同じクラスの男の子は、お迎えがいつも19時半なのだけれど、これ以上早くお迎えには来られない、という理由で認可園への申し込みそのものをあきらめてしまっている状況である。
おそらく、そんな保護者は山のようにいるに違いない。
あるいは、ベビーシッターを別に頼んでいるか。

待機児童問題となると、よくインタビュー記事などでお見かけするJPホールディングスの山口洋氏も、このあたりのことはよく憤っていらっしゃる。
Business Media 誠:嶋田淑之の「リーダーは眠らない」:なぜ待機児童は減らないのか?――JPホールディングスが保育事業に参入した理由 (2/6)
もちろん立派な経営をされている保育園もありますが、一般的な傾向として言えば『夜は仕事をしたくないので夕方までしか預からないし、日曜や祝日は仕事をしたくないので子どもを預からない』というのが業界の体質です。だから、保護者会や運動会を平気で平日の昼間にやるんですよ。働いている人を支援するために存在するのが保育園なのに、働いている人の事情をまったく考慮せず、自分たちの都合だけで運営しているところが多いんです。

 延長保育はせいぜい19時までで、それも内心快く思っていないので、そういう気持ちが子どもや保護者に対する態度となって露骨に表われるんです。まして休日保育をやっているところなんてほとんどありません。許せないですよ
じゃっかん言い過ぎ感はあるけれど、主旨はよくわかる。
現状では認証保育園に入れるだけマシで、園の条件と金銭的な問題を掛け合わせて、保護者がなんらかの負担を強いられている状況である。
これでは、キャリアを放棄してまで子供なんて産まない、と言われても致し方ないと思う。
少子化対策なんて、絵に描いた餅でしかない。
にほんブログ村 子育てブログ 幼稚園児・保育園児育児へ

6 コメント :

ブラックモア さんのコメント...

はじめまして。
お隣の杉並区に住むブラックモアといいます。
こんど2歳になる男の子を認証に預けて働いています。

(ご存知かもしれませんが…)杉並区の認可入園もかなり激戦で、希望者の4割も入れません。
うちもフルタイムですが、見事に落選し、しかも認可外も入るのが難しく、来年の預け先が決まってません(苦笑)
杉並区の場合、仰っている「待機児童」の定義変更のせいで、大変なイメージがうやむやになってしまっているんですよね…。

いつもすごい分析をされていて、参考に密かにさせて頂いています。
お互い、今回入れるとよいですね、ほんとに…。

たまこ さんのコメント...

ブラックモアさん、

はじめまして。コメントありがとうございます!
お隣ですので、杉並区のお話もよく聞きます。
無認可も、息子が入れた2年前と比べ、さらに厳しくなっているなと肌で感じています。
フルタイムで保育園に入れないと、もう行き場がないですよね(ため息・・・)。
今は育休中ですか?

うーん、分析と呼べるレベルかわかりませんが、参考にしていただいて光栄です。
調査したところで現実は変わらないわけなのですが、知っているだけで勝負勘が変わりますから(笑)

本当に入れるといいですね!
祈るしかありませんが。

ブラックモア さんのコメント...

たまこさん

こんにちは。返信ありがとうございます。

世田谷区も年々厳しくなっているのですね。
杉並区も2年前ぐらいから、ほんと悲惨になっています(T_T)

いまは育休中ではないです。今年の4月に1歳クラスで認証に預けて働いています。
早生まれなので0歳クラスへの応募が出来ず、育休を延長して1歳クラスへの応募にしたことが、今思えば敗因でしたね(~_~;)

もうほんと祈るしかありません…。

たまこ さんのコメント...

あー、うちと同じです!
でも、経験しないと、戦略的なことって全然わからないですよね。
いまさら引き返せないんですが。
そもそも受け皿が少なすぎるのが問題なんですけれど。

空きが出ますよう、お祈り申し上げます!


Anonymous さんのコメント...

たまこさんはじめまして。
tmtmと申します。
私も世田谷区在住、子はまだ3ヶ月ですが先行きの見えない保育園事情に鬱々としています。
産後すぐからいくつか申し込みしましたが、もはや認証すら望み薄ですね...
区長へのご意見や冷静なデータ分析など、たまこさんの行動力尊敬いたします。

横浜市の件は私も衝撃でした。普通に働いて普通に育児ができる環境がどうしてないのか、簡単な問題ではないですが...


取り留めもなくすみません。
たまこさんとお子さんにも、朗報が訪れますように。
Tmtm

たまこ さんのコメント...

tmtmさん、
コメントありがとうございます^^

いえいえ、私は全然危機感なかったんです。
子供が生まれて、育休そろそろ終わりだし、というころに、初めて状況を知って愕然としました。
だから、本当は、妊娠中にいろいろ行動すべきだったと後悔しています。

出産直後から行動なさっていたなんて、頭が下がります。
でも、私が保活を始めた3年前は、「認可がだめでも、どこかに必ず入れるよ」と先輩ママから言われていました。
現在は、とてもそんなことを言える状況ではなくなってしまいました。

とにかく、宝くじと同じで、申し込まないと内定ももらえません。
ぜひ情報をかき集めて、内定取れますように!

コメントを投稿