7/30/2015

平成26年度 東京都の待機児童数 自治体比較

アメリカ生活が始まったところなのだけれど、渡米が決まる前に平成26年度の待機児童レポートを途中まで書いていたので、アップすることにした。
平成27年度の保育サービスレポートが東京都からそろそろ出るはずなので、迷いに迷ったんだけど。
平成27年度分もいつ出せるか…(勝手にライフワークと思っている。)

元ネタ >
都内の保育サービスの利用状況について
関連記事 >
平成25年度 東京都の待機児童数 自治体比較

※私は統計のプロでもなんでもない、ただのデータベースエンジニアです。データ集計は得意ですがデータの見せ方に関しては素人ですので、あくまで素人が趣味でまとめたものということで、ご理解ください。

1. 東京都の保育サービス概要

1.1. 就学前児童人口と保育サービス利用児童数
都全体では、順当に就学前人口も保育サービス利用児童数も増えている。
就学前児童人口と保育サービス利用児童数 - 戦わない子育て -

1.2. 1.1. の前年比
就学前児童人口推移(前年比) - 戦わない子育て -

先のグラフですでにお気づきと思うが、就学前児童人口の伸びよりも、保育サービス利用児童数の伸び率が高い。つまりそれだけ保育サービス利用者の割合も増えているし、受け入れ人数も増えているということだ。別に何もしていなくて待機児童が減らないわけじゃないことがわかる。

1.3. 年齢別待機児童数
年齢別待機児童数推移 - 戦わない子育て -

2歳児までが全体の9割を占めていることが一目瞭然である。実感としても理解できる。
保育所を増やすと、逆に4歳児以上がガラガラになるケースもあるようだ。兄弟で入れれば保護者は楽だが、せっかく保育園に入ってもお友達がいないのだと、年齢が上になればなるほど本人が辛いだろう。
病気のことや社会性などを考えると、2歳くらいまでは保育所のようなところに預けるより少人数でシッターに気軽に頼めるようになるといいなとは思う。今、東京でシッターさんに毎日10時間も頼んだら、大赤字になってしまう。

2. 各自治体比較(23区および都下)

今回も、町村部/島しょ部は除いた(毎度すみません)。

2.1. 就学前児童人口と保育サービス利用児童数比較
就学前児童人口と保育サービス利用児童数比較- 戦わない子育て -

今年度 (H26) の保育サービス利用割合 (= 保育サービス利用児童数 / 就学前児童人口) の降順に並べた。
1.1. で見たように、東京都全体では40%弱であるが、各自治体で多少バラつきがある。
青梅市の55%が目を引くが、支部では50%越えが青梅、福生、武蔵村山市の3市もある。区部の最高は荒川区の47%。待機児童の多い世田谷区は30%止まりで一番低い。
ただし、荒川区も青梅市も絶対数自体は少ない。それからすると、江東、葛飾、板橋区、八王子市は人口が多い上にサービス利用児童数の割合も高い。
補足になるが、この保育サービス利用割合と待機児童の割合(= 待機児童数 / (保育サービス利用児童数 + 待機児童数)) の相関を調べてみた。
区部: -0.45
市部: -0.74
全体: -0.64
市部でかなり強い負の相関があるが、区部では待機児童が多いからといって、サービス利用児童数が減るとも言い難い。別の要因がありそうである。

2.2. 就学前児童人口前年比
就学前児童人口前年比 - 戦わない子育て -

前年比率% の降順にしてある。
絶対数では世田谷区がやはり多い。毎年900人くらいずつ増え続けている。すごいですね。第一子であれば、当然その保護者も1人以上いるわけなので、生産人口もそれなりに増加しているんだろう。待機児童が多いなんて、人口流出には関係ないらしい。そもそも転入してくる人たちは、子供たちを保育園に入れるつもりはないのかもしれない。
逆に、江戸川区は一貫して下げトレンドである。平成25年には800人も減っている。東日本大震災で沿岸部からの流出に拍車がかかったのかもしれないが、同じ沿岸部の江東区は上げトレンドなので、何か問題があるのだろう。
市部にいたっては、比較的都市部に出やすい中央線などの沿線で増加傾向にあるものの、全体としては減少傾向である。

2.3. 保育サービス利用児童人口前年比
保育サービス利用児童人口前年比 - 戦わない子育て -

ほぼ2.2. のグラフと正比例している。が、見てすぐにわかると思うが、保育サービス利用児童数が減った自治体はごく一部である。東京全体で就学前児童は毎年5, 6千人の増加に対し、保育サービス利用児童数は1万人くらいずつ増加している。つまり、保育サービスを受ける児童の割合が毎年増えているということだ。

2.4. 待機児童数
待機児童数 - 戦わない子育て -

安定の1位は世田谷区である。
1位の世田谷区も、保育サービス利用児童数を見ると、すでに1.3万人もいる。待機児童が千人超えるというのは異常ではあるけれど、利用児童数が千人程度しかいない千代田区のような自治体と単純比較はできないんじゃないかと思わないでもない。
保育サービス利用児童数が1万人を超しているのは、
世田谷/足立/練馬/大田/江戸川/江東/板橋/八王子
の8市区。
このうち、待機児童が500人を超えているのは、
世田谷/大田/板橋
の3区。
足立・江戸川・八王子の3市区は、待機児童の絶対数のみ比較すると多いように感じるが、需要(保育サービス利用児童数+待機児童数)に対する割合はそれほど高くない。
逆に、絶対数こそ少ないものの、需要に対して待機児童の割合がかなり高いのが小金井市である(グラフの黄色の点)。ワースト1位を誇る世田谷区よりもひどい(武蔵野市も割合は世田谷より高い)。
荒川区なんて保育サービス利用児童数が4000人以上いるのに、待機児童数はたったの8人。
待機児童ゼロの千代田区が人気みたいだけれど、データだけを見ると、港区・荒川区を私はお勧めしたいです(責任は持ちませんが)。しかも、職場に千代田区にお住まいの方がいるのだが、千代田区はそもそも子供が少ないので、学童待機が出るんだそうだ。園児には優しいが、学童には厳しいらしい。

まとめ

というわけで、さっぱりまとまらないのだけれど、どこの自治体が保育園に入りやすいか、に関してはデータから見る限り東京都内にはほぼ皆無といっていいと思う。
世田谷区は保育園こそ最悪と言われているものの、学童待機はゼロである。少なくとも小学校へ入学したら、すべての児童が学童に入ることができる。6歳と言えば、社会性もかなり芽生えており、保育園で仲良くなったお友達と同じ小学校、同じ学童へ行ける方が負担は少ない(それが最善かどうかはともかく)。
私は保活は悔し涙をかなり流したので、その苦労はものすごくよくわかるんだけど、小学校へ上がる時には何も考えずにすんなり学童に入れて、これは良かったなと思った次第です。

関連して、(勝手に)お勧め記事へのリンクも貼っておきます。
舞田先生のデータえっせいより
東京都内44区市の保育力偏差値
子育て期における人口増加率地図(首都圏版)